全国の国公立医学部医学科の進級率(平成24年度入学者)を並べ替えてみた。
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※平成24~26年度入学者をまとめた決定版を作成しているので、現在は以下のリンクの記事の閲覧を推奨します!
以下は記事執筆当時の内容をそのまま残してあります。
遂に各大学の進級率が明らかに
各医学部医学科の「平成24年度入学者の最低修業年限での卒業率」および「第112回国家試験(平成30年2月)合格者状況<新卒(修業年限超過者を含む)>」が文部科学省のサイトで公開されました。http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/iryou/1324090.htmからリンクが張られている、以下のアドレスにデータがあります。
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/08/08/1325992_002.pdf(※2018年8月28日AM2:00閲覧)
(※2018年9月12日追記。リンクが変更されたようです。http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/09/12/1325992_002.pdf なお、この記事の作成に用いたのは2018年8月28日時点で公開されていたデータです)
WebArchiveで確認した限りでは、昨年度までは「最低修業年限での卒業率」が公表されていないようでしたので、今年度からの取り組みのようです。(昨年度のリンクタイトルが、「平成29年度の各大学医学部医学科の入学状況等 」となっていることから。https://web.archive.org/web/20171210040910/http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/iryou/1324090.htm)
受験サイト等で断片的にしか分からなかった、各大学の進級(卒業)難易度が明確に公開された形になります。
平成24年度入学者の最低修業年限での卒業率
元の文献中では数値順に並んでいないため、「最低修業年限での卒業率」を以下に数値順に並べて整理してみました。あくまで「平成24年度入学者」のものであり、最近の入学者等では変化がある可能性にご注意ください。また、元の文献中では編入者等の扱いが明らかになっていないため、そこで大学間に差が生じている可能性はあります。以下では単純に元文献の数値順に並べています。
〇最低修業年限での卒業率70%未満
山梨大学 67.2%
〇最低修業年限での卒業率70%以上~75%未満
長崎大学 70.7%
〇最低修業年限での卒業率75%以上~80%未満
徳島大学 76.3%
佐賀大学 77.4%
福島県立医科大学 77.6%
滋賀医科大学 78.0%
信州大学 78.1%
香川大学 78.7%
九州大学 78.8%
大分大学 79.0%
千葉大学 79.3%
琉球大学 79.4%
旭川医科大学 79.5%
奈良県立医科大学 79.6%
〇最低修業年限での卒業率80%以上~85%未満
熊本大学 81.0%
宮崎大学 81.1%
山形大学 81.6%
名古屋市立大学 82.1%
横浜市立大学 82.2%
鳥取大学 82.9%
島根大学 83.3%
和歌山県立医科大学 84.0%
新潟大学 84.2%
岐阜大学 84.3%
高知大学 84.5%
広島大学 84.6%
富山大学 84.9%
〇最低修業年限での卒業率85%以上~90%未満
東北大学 85.2%
大阪市立大学 85.9%
鹿児島大学 86.0%
群馬大学 86.1%
京都府立医科大学 86.9%
筑波大学 88.5%
浜松医科大学 88.7%
福井大学 89.1%
岡山大学 89.6%
〇最低修業年限での卒業率90%以上~95%未満
東京医科歯科大学 90.1%
京都大学 90.1%
金沢大学 90.2%
神戸大学 90.7%
愛媛大学 90.7%
大阪大学 91.3%
弘前大学 91.4%
山口大学 91.6%
札幌医科大学 91.8%
三重大学 93.6%
名古屋大学 94.5%
〇最低修業年限での卒業率95%以上
秋田大学 97.5%
北海道大学 99.0%
東京大学 99.0%
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平成24年度入学者の"擬似的な"最低修業年限での国試合格率
更に、「平成24年度入学者の最低修業年限での卒業率」と「第112回国家試験(平成30年2月)合格者状況<新卒(修業年限超過者を含む)>」を掛け合わせることにより、「"擬似的な"最低修業年限での国試合格率」を算出しました。「第112回国家試験(平成30年2月)合格者状況」には「修業年限超過者」が含まれているため、あくまで擬似的なものであることにご注意ください。また、上で述べたように、編入者の扱い等明瞭でない部分があったり、あくまで平成24年度入学者を中心とした数値であり、直近の入学者では変化が生じる可能性も十分あります。
〇最低修業年限での国試擬似合格率60%以上~65%未満
山梨大学 62.9%
長崎大学 64.0%
〇最低修業年限での国試擬似合格率65%以上~70%未満
徳島大学 69.2%
〇最低修業年限での国試擬似合格率70%以上~75%未満
香川大学 70.4%
宮崎大学 72.3%
琉球大学 72.6%
九州大学 73.3%
佐賀大学 74.1%
滋賀医科大学 74.4%
〇最低修業年限での国試擬似合格率75%以上~80%未満
千葉大学 75.3%
大分大学 75.4%
信州大学 75.9%
福島県立医科大学 76.0%
山形大学 76.1%
京都府立医科大学 76.2%
島根大学 76.6%
旭川医科大学 77.1%
熊本大学 77.9%
群馬大学 78.4%
名古屋市立大学 78.6%
奈良県立医科大学 78.9%
富山大学 79.1%
新潟大学 79.6%
広島大学 79.8%
〇最低修業年限での国試擬似合格率80%以上~85%未満
和歌山県立医科大学 80.1%
横浜市立大学 80.2%
岐阜大学 80.3%
鳥取大学 80.4%
高知大学 80.4%
福井大学 81.4%
鹿児島大学 82.2%
東北大学 82.5%
大阪市立大学 83.2%
筑波大学 84.1%
弘前大学 84.6%
〇最低修業年限での国試擬似合格率85%以上~90%未満
愛媛大学 85.1%
大阪大学 85.3%
札幌医科大学 85.9%
浜松医科大学 86.5%
神戸大学 86.7%
金沢大学 87.2%
東京医科歯科大学 87.5%
山口大学 87.7%
京都大学 87.7%
岡山大学 88.0%
北海道大学 88.6%
〇最低修業年限での国試擬似合格率90%以上~95%未満
三重大学 90.7%
名古屋大学 91.9%
秋田大学 92.3%
東京大学 92.4%
これらのデータを踏まえて
ここまでは文部科学省のサイトのデータを整理した結果でしたが、僭越ながら、以下にこの結果を踏まえての自分の意見を述べさせていただきます。
進級条件を厳しくしなければ医師の質が担保できないというのは分かります。しかし、医学科の合格者の中に、大学の学費を払う充分な経済的余裕がない人々も相当数おり、それらの人々の多くが借りているであろう日本学生支援機構等の奨学金が一度留年するだけで"廃止"されてしまう、という事実があまり顧みられていないような気がします。http://next49.hatenadiary.jp/entry/20170226/1488088995
このような学生は留年した場合、自己を顧みて勉強に集中する、というよりも、アルバイトに忙殺されてますます勉強ができなくなってしまうのではないでしょうか。そのような問題は各々の学生が解決すべき問題で、学問の府としての大学が斟酌すべき問題ではない、という意見に理がある部分があるのも承知しています。しかし、このまま進級・卒業率を厳しくすることで医師の質を担保する、という方針なら、全く努力の形跡が見られない学生は勿論論外だと思うのですが、勉強はしているものの学力が十分でないため留年させるという判断に至った学生には、日本学生支援機構等と協力して、進級後の奨学金再開を確約してあげる等の措置を考えてみても良いのではないでしょうか。
勿論、医学科だけこのような措置を取る、というのも難しいことは分かるのですが、進級を厳しくする一方で、経済的余裕がないが進級が非順調となってしまった学生へのフォローも考えてあげて欲しいのです。どうか、よろしくお願いします。
(2018年8月28日10:47追記:要望があったため私立大学版も作成しました。
https://igkb.hatenablog.com/entry/2018/08/28/104526)
(2019年11月24日追記)
昨年に自分のこの記事を読んで興味を持ってくれた「しーちきん」さんが、平成25年度版入学者版を作成してくれています。年度が変わって大幅に進級率が変わっている大学もありますので、比較を強くお勧めします。
(2020年9月10日追記)
平成24~26年度入学者をまとめた決定版を作成しました!